水処理技術一覧

TOC・フミン酸除去

TOCの起因する成分は、フルボ酸、フミン酸

toc

 

堆積平野に位置する深井戸、被圧地下水の水質中には、粘土層に含まれる有機物質が溶出し、TOC(全有機炭素)水道水質基準3.0mg/Lを超過するケースが数多くあります。

 

TOCの起因する成分は、フルボ酸、フミン酸と呼ばれる有機性の成分です。 分子量700程度~100,000を超える範囲にあると言われ、フミン酸は100,000を超える分子が43%~70%を占め、フルボ酸中の分子は70%~75%が100,000未満の分子量にあると日本腐食学会の文献で紹介されています。

 

フミン酸標準物質については、国際腐植物学会のHP上で紹介されています。

https://ihss.humicsubstances.org/

 

fumin_1

 

pHに関係なく水に溶解するフルボ酸は、河川湖沼、海水、地下水など水系に存在するフミン物質の多くの部分を占めています。 河川に溶けている有機物質のうち40%くらいがフルボ酸だといわれています。

 

fumin_2

生物ろ過によるTOC・COD(全有機炭素除去)除去実証実験の結果について

toc_2

島根県・山形県では、生物ろ過の実装置を納入し、TOCの低減化を確認しています。

 

秋田県某ホテルの原水地下水のTOC(全有機炭素)濃度は、水道水質基準8.7mg/Lの約2.9倍超過しており、このTOCの除去性についても重要な課題であったが、実証実験において、生物ろ過塔1塔目にて30%除去、2塔目にて30%除去が可能であるため、合計60%の除去が達成されると推定できます。 したがって原水のTOC、8.7mg/Lは、ろ過流速120m/d(実験流速は平均値で、実際より高い流速です。)にし、1塔目のろ過効果もあるため、TOCは35%以上除去されます。

今回の現場においては生物ろ過により、TOCは3.0mg/L以下になり、水道水質基準に適合する水質になると思われます。

 

toc_3

 

(原水-2号ろ過水)÷ 原水TOC × 100倍 = TOC 除去率
(8.7mg/L-3.5mg/L)÷ 8.7mg/L × 100倍 = TOC 除去率 59.77 %

1.深井戸地下水中のTOCについて

フミン酸、フルボ酸などの腐食物質は、動植物の遺骸が分解される過程で生じる褐食~黒色の高分子有機物であり、地下水中に溶解する天然有機物の大部分を占めます。
深井戸・地下水のTOCは、土壌や、粘土から溶出するフミン酸、フルボ酸が大部分を占め、分子量は30,000~40,000の分子量で、錯イオンを形成しているのが特徴と言われています。なお、フミン酸、フルボ酸について概説された「フミン酸と環境 」(生産研究,No.45巻,第7号,1993.7 東京大学生産技術研究所,第4部,篠塚則子)をご参照ください。

2.TOC除去の事前調査の実施

・秋田県某ホテルの生物ろ過の実証実験を実施する前に、「フミン酸、フルボ酸が生物ろ過によって除去できるかどうかについて、以下の事前調査」を行ないました。

 

・島根県出雲市 某温泉施設  採水年月日 2015.6.15

toc_4

 

・本年5月、山型県某病院の竣工試験においても、生物ろ過の実装置1塔にてTOC約30%除去を確認し、秋田県某ホテルでの実験を行ないました。